猫日記233。
#姉の重すぎる愛と王子カルピスの憂鬱な日常18
カルピスは、普通の猫ではあったのだが、
生まれながらに何かを持っているようなところもあった。
なので、幼い頃から周りの人間を虜にし、なんらかの恩恵を与えていたのだ。王子だから!
カルピスを呼ぶと返事をしてくれたんだけど、
あれは尊さの極みだった。
高校生橘 「カルピス!」
子猫カルピス 「モゥモッ。」
高校生橘 「カルピスー!」
子猫カルピス 「モーーーーーーーーウ、モゥッ。」
あーん、カワイイ。ずっとお返事してもらいたい!
高校生橘「カル!」
子猫カルピス「モッ•••。」
↑ボランティア精神の枯渇。
終了。
高校生橘 「カルピス!!」
子猫カルピス 「•••。」 ブ•••ン•••!←尻尾。
それからはしっぽだった。
そして間もなく呼んでも無反応の時代へと突入した。
カルピスがどんなに可愛いお返事が出来ても、
返事の無駄遣いは駄目らしかった。
カルピスは寡黙な王子であったが、
その存在感は皆の目を惹きつけた。
ただ座っているだけで皆が幸せな気持ちになった。
カルピスは基本的にあまり香箱座りしない子。
横たわっているか、アンモニャイト。
あとは香箱座り以上に頻度が少なかったけど、伸びきっていたり開ききっていたりのとんでもない格好。
どんなポーズでも、お行儀が良いとか何その格好とか、とにかく声をかけられる!
私はとにかくカルピスに触りたい。
ある時、お腹や尻尾に触ろうとしたら、母が怒った。
カルピスがどんなに豊かに民達に供給してくれ、持てる者の義務をはたしていたとしても、
供給される側が王子への礼儀を欠いてはいけないらしかった。
カルピスはそもそも触られる事があまり好きではなかったし、尻尾やお腹なんて触ったらすごく嫌がる。
でも怒ったりはしなかった。
カルピスが怒ったのはそんな時ではなかったのだ。