猫日記229。
夏のノスタルジア1。
#姉の重すぎる愛と王子カルピスの憂鬱な日常14
ひさしぶりにカルピスの日記だよ。
カルピス。↓
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カルピスはいい匂いがするだけでなく、感触も最高。
本当に骨と皮しかないのではないかというくらいガリガリに痩せているのに、
もっちりとした触り心地が不思議なのだ。
あれは高密度な毛皮のせいに違いなかった。
しかもカルピスの毛皮はよく毛繕いされていたせいか、オールシーズンしっとりと柔らかかった。
香りの秘密は3段階の変化にある。↓
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カルピスは毛皮に覆われてるのに夏でも暑そうに見えなかった。なんて爽やかな王子様なんだ。
しかし、ある時を除いては。
あれは蒸し暑い夏の日の事だった。
もしかしたら梅雨だったのかもしれない。
私はいつも通り横たわるカルピスに腕を回して顔をくっつけていた。
とても蒸す日だったのに、カルピスにくっつくという習慣はゆるがない。
しかし•••。
•••ムシムシ•••。
時間の経過と共に、ますます蒸してきた。
私はカルピスに蒸し暑いね、と話しかけようとして顔を見た。
そしたら•••カルピスが苦悩している顔をしていた•••!!
ガーーーーンン•••。
カルピスごめん!!!
私はバッとカルピスから離れた。
カルピスは、目は閉じていたものの口は半開きになり、
今にも魂の抜けそうな顔をしていた。
そしてけしてそんな事はないはずなのに、じっとりと汗を感じる空気を纏っていた。
私がくっついていたせいで、蒸し暑さの苦痛を与えてしまった!!
私は心臓がドッドッドッと打っているのを感じながら、カルピスに再びそっと近づいて様子をうかがった。
カルピスどっ・・・どう?少しは涼しくなった?
私のせいで魂抜ける直前まで苦悩するなんて•••!!
どうか•••どうか•••カルが無事でありますように!!
すると•••。
ファサッ•••
スッ。
カルピスはしっぽを静かに一振りすると、わずかに体勢を整え丸くなり、静かに目を閉じたままの顔を両手の上にそっと滑らせた。
カルピスいまの何?!
たったあれだけの動きなのに、一瞬で清涼感が漂った。
しかもさりげない高貴さを伴って。
美。
カルピスって普段こんな猫だっけ•••?!
たしかに世のシャム猫さん達は常に気品に満ち溢れている。
しかしカルピスはあくまでシャム風猫であり、一般的なシャム猫さん達とはなんか違うのだ。
それに、カルピスはいつも庶民的で親しみやすさのある猫だった。
それなのに、今のは一体•••?!
私が穴があくほどカルピスを見ていたら母が来た。
高校生橘「お母さん•••!!カルピスが•••!王子•••!!」←語彙力•••。
母橘「ああ、カルはゆっくりしてるんだよ。そうっとしておきなさい。」
高校生橘「カルが•••!!!」
母橘「いいから、かまうんじゃないの!」
ぱくぱく。
私がうまく言葉が出てこないでいる傍で、
王子は日本の夏をゆっくり過ごすのだった。