ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

フローラルシャム猫

猫日記216。



#姉の重すぎる愛と王子カルピスの憂鬱な日常3



実家で暮らしていた頃、シャム猫がいた。
彼の名前はカルピス。
皆から王子と呼ばれ、カルピス(愛称:カル)を見たものは
皆幸せな気分になった。

カル王子は、取り立ててこれと言った特技はなかったが、
強いて言うなら毛づくろいが得意だった。
(そしてその毛づくろいする姿さえ皆を魅了した)

※画像は全てイメージです。







カルピスの毛皮は常にいい匂い。
お日様の匂いのする王子だった。

potoritootitanostalgia.hatenablog.com


しかしクッキーの匂いがする時もあった。





猫の匂いを例える時、お日様の匂いとかクッキーの匂いとかはわりと一般的だ。
しかしカルピスはそれだけではなかった。







カルピスがまだ子猫だった時代のある日の事。
私が学校から帰ると、カルピスは一人掛けソファの上に横たわっていた。
カルピスは絶対に私を玄関まで迎えにきたりはしないので、
こうしてこちらから出向いてただいまの挨拶をしにいくのだ。さすが王子。




高校生橘「カルピス!!ただいまー!!」

カルピス「・・・。」



カルピスは基本的に無口で無反応。
ほとんどの事には興味を示さない。
そして私が話しかけても基本的には黙っているし、
丸くなったまま目を伏せている。



高校生橘「カルピス、いい子にしてた?」



私はカルピスに頬ずりして一方的な会話を始めた。
その時初めて気づいた。



高校生橘「カルピス・・・なんだかすごくいい匂いする・・・!!!」




私はますますカルピスの毛皮に擦り寄った。
たしかに普段から布団とかクッキーとかの
いい匂いはしていた。しかしその時
初めて気づいた香りがした。



これは・・・!いったい何の香りだろう・・・?!
猫とは思えない香り・・・!
そう、まるで香水のようなとてつもなくいい香りがする・・・!!





私は皆に聞いて回った。



高校生橘「ねえ、カルピス今日シャンプーでもしたの?!」

祖母橘「してないよ。」

高校生橘「じゃあカルピス香水つけてるの?!」

母橘「そんなことあるわけないでしょうが。」




じゃあ、なんでこんなに香水みたいな匂いがするの?!



この当時、まだ一度もカルピスをシャンプーした事がなかった。
というかシャンプーの香りじゃなかった。




高校生橘「ねえカルピス、すっごいいい匂いがするね!!」



カルピスはめずらしく私と目を合わせた。
そして、自分が褒められているとわかっている顔をしていた。

普段カルピスをどんなに可愛いと褒めたたえても、全く喜ばない。
でもいい匂いがする、という
彼にとってのスペック的な事を褒めたから響いていたのかもしれない。


しかし、カルピスはとても謙虚な性格だったので、
すぐに静かに目を伏せ、自らの両手の上にそっと顔を載せていつも通りの雰囲気に戻っていた。



高校生橘「ねえ、カルピス香水つけてるの?!」



カルピスは静かに目を閉じたまま無言だった。
ばあちゃんが、またこの子は馬鹿な事を言ってる、とあきれていた。
ばあちゃんは私がカルピスに話しかけるたびにあきれていた。
つまり365日あきれていた事になる。




高校生橘「ねえ、なんでカルピスはこんなに香水みたいな匂いするの?!」

母橘「そういう猫なんだってば・・・。」



そういう猫ってどういう猫?!
こんなフローラルな猫聞いた事がないよ!!




私がさらにカルピスに頬ずりしようとしたら、
ばあちゃんにご飯食べなさいと怒られた。