ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

ブルーレア

茶日記52。



私が一番レアだと思うお茶。
それは、



クリムゾンウーロン。



これはウーロン茶の茶葉を紅茶の製法で作った
ウーロン茶とも紅茶ともいえる珍しいお茶。


台湾の
玉山(ユイシャン)、
つまり日本統治時代でいうところの新高山(にいたかやま)で
作られたお茶。


もともとは
お茶職人が家庭で楽しむために作っていた自家用茶。



その珍しいお茶が市場にも流通するようになる。



しかしこのお茶職人の方はすでに引退をしている為、
生産はされておらず、
現存する茶葉がなくなるという事は
この世から消失するという事。



実はうちにずっとあるんだ、クリムゾンウーロン。
現状まだ一般に販売されているので手に入るけど、
在庫少ないんじゃないかと思って日記に書くのはやめていた。
(自分が買えなくなるから。)


でも、私が買った後在庫増えてたんだ。
その後ずっとチェックしているけど、
まだある・・・!






このお茶は、飲んでみるとわかるけど
質のいい茶葉で腕のいい職人さんがつくったお茶だという事がわかる。
しかし新茶として出来上がった時の鮮烈さはおそらくないのだろう、
角が取れたような味がする。


淹れた時のビジュアルは燃えるような紅い色をしている。
見た目は紅茶寄りだ。


しかし・・・。


味は紛う事なきウーロン茶。
わずかに紅茶っぽい風味は感じる事が出来るけれど、
これはやはりウーロン茶だと思う。


そして風味は独特だ。



いちじくの若枝にそっくりな香りがする。
いちじくの実じゃなくて枝。






むかしひいじいちゃんが生きてた頃。
うちの庭にはいちじくの木が生えてた。
ある日ひいじいちゃんはそこからおもむろに枝を取ってくると、
ナイフで削り始めたんだ。


そして気づいたら台所に菜箸が
かかってて、それはひいじいちゃんがいちじくの枝で作ったものだった。
すごいうまかった。工芸作品みたいで。


しかしその枝からは独特の香りがし、
その菜箸でつくった料理からはいちじくの若枝の鮮烈なかおりがした。



クリムゾンウーロンを初めて飲んだ時、
その時の事を思い出した。





クリムゾンウーロンの茶葉をある程度ストックで買っておく事も考えたんだ。
質の良い台湾茶は5年でも10年でも保存しておける。


でも、このお茶はすでに作られてから10年は経っている。
ヴィンテージティーだった。


ここからさらに10年・・・やめた方がいいだろうなと思った。



あるうちは楽しめる。





クリムゾンウーロンは私の中でブルーレア。

もしこの世から消える時が来たら、
レアどころではなく、
これが本当の幻のお茶になると思っている。