夏のノスタルジア7。
当時、関係者の人から聞いた話なんだけど、
駅構内や街角で声掛けた人にモデルをお願いしても
その場で断られる事が多いそうだ。
まれにOKもらってアポイントメントまで取り付けても、
顔合わせの前にキャンセルの連絡が来てだめになってしまう事もあるらしい。
たしかにそうなっても仕方ない。
だってギャラは支払われないし(お礼のプレゼントみたいなものはお渡ししてたみたいだけど)
契約関係にあるわけでもないから、
こちらからお願いして本人の善意でご協力いただくだけなのだ。
本人にとってもっと優先順位が高い予定が出来たらお断りするだろうな。
19歳橘(あの人は当日来てくれるかな。)
来てくれる。
私はそう確信していた。
それに、私あの人にモデルになってもらいたい。
あんな稀な容姿してる人そうそういないし、
それに・・・すごく優しそうだった。
一点、不安要素があるとすればイメージが合うかどうか。
当時のモデルと言えば・・・
こういうのとか、
こういうのが主流だった。
すごい李家顔・・・。
彼女は、いわば正統派美人だ。
それもクールな綺麗系じゃなくて愛らしいタイプの美人。
つまり抜群に可愛いって事なんだけど、
モデルとしてはアリなのか・・・?
体型は紛うことなきモデルだったけど・・・。
19歳橘はそこだけが気がかりだった。
8~9等身女子は、肩につくかつかないかくらいのセミロングだった。
サラサラのストレート。
たぶん、ばっさり切るとかはないだろうな。
メイクはすごく薄い様に思えたし、むしろノーメイクだったかもしれない。
それなのにあの顔立ち。
あんまり手を入れなくても可愛いけど、
メイクの仕方によっては映えそうだ。
肌は陶器みたいに白めにつくりこむ。
(駅で会った時は特別色白って感じはしなかった。
夏だったから少し日焼けしてたのかも?)
アイメイクは寒色系の繊細なパールとかで冷たい印象に。
メタリックにしてもいいかも。
顔立ちの愛らしさが抜群に引き立つように。
衣装はパンツスタイルがいいと思う。
彼女はスカートスタイルよりもパンツスタイルが似合う。
近未来の都市に降り立った、氷の女王様みたいに。
19歳橘(・・・。)
こういう事を考えてるから、手伝いに駆り出されるんじゃないだろうか。
私はショーとは関係ないのに。
19歳橘(でも・・・来てくれるといいなあ・・・。)
当日を待った。