ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

イレギュラーな韓国人

そういえば、いたわ韓国人の方。


もう15年以上前なんだけど、
関東の某県でお勤めしてた事があったの。


そこは都内や同県内の主要都市とは違ってなんもない田舎だった。
最寄り駅からも離れてるし、
住宅地とコンビニといくつかのチェーン店や個人商店があるだけの場所。


そんなとこにある職場。
日本人ばかりの中で
一人だけ韓国人の社員がいたの。
Oさんという女性。


Oさん専門職だからすごいお給料高いし
のびのびと仕事してて
毎日楽しそうにしている人だった。
日本に来て成功している韓国人と言えよう。


日本人と結婚されてたので日本語の名字のOさん。
名前の方は通名とかじゃなくて
韓国の名前をそのまま日本語ひらがな表記した名前で通していた。


私、入りたての頃は
そのOさんの事ほとんど何も知らなかったし
関わる事もほとんどなかったから
韓国人だって気づかなかったのね。



Oさんと結構仲良さそうだったEさんていう
女性の先輩(もちろん日本人)がいたの。
私によく話しかけてくれてたから
ある日もEさんと話してたんだ。


Oさんの話題になったから
「Oさんって英語も話せるし、普段話してる時の発音もなんか外国語訛りがあるから外国人みたいですよね。」
って言っちゃったの。



そしたらEさんが、「だって外国人だもん。」って言って、
そこでOさんが韓国人だってはじめて気づいた。



当時は韓国人と話した事なんてほとんどなかったから、
外国語訛りの日本語を聴いても
それが韓国人特有の訛りという事がわかんなかったの。



今だったら、同じ日本語話してても、
あ、これは中国人、これはフランス人、これはフィリピン人、みたいにだいたいわかる。










それで、Oさんだけど、
ある時からすごく話しかけてくれる様になって、
よくいろんな話をする様になった。
Eさんも私にすごい話しかけてくる人だったけど、
Oさんはそれ以上だった。




私がボーナスでフランスとイタリアに旅行に行った事を噂で知ると、

「私そういうの好きよ!!いいなあ!!」

って目を輝かせていた。



当時この職場で海外旅行行く人なんてまずいなかったから、私が海外行く1ヶ月くらい前からと帰国してから半年もの間、私の噂話しかなかった。


この職場の人達、皆お給料高いのに
すごく貯金頑張るわけでもなく
だからといって有意義なところにお金を使おうともしない。
何にもならないくだらないところにお金使ってる人ばっかりだった。


くだらないかどうかは個人の価値観によるんじゃないかと思うかもしれないけど、まともな感覚持ってる人なら誰だってくだらないと思うと思う。


仕事以外特にする事ない人達だったんだよね。
それはいいと思うんだけど、
じゃあよりよく仕事が出来る様な事に投資するお金の使い方をするとかそういう発想はあるのかというと、そういうのもなかった。





しかも私が旅行行った事に対して
皆好き勝手に話してて大変だった。
さらに
旅行行く前とかは
お休み申請等の各種手続きしてたら
管理職の人まで色々難癖つけてきてこれも大変だった。
私は一般の社員だったので、
長期休み取る事は何も問題ないんだよ。



ちなみに私が帰国した後この職場で
海外旅行行くのが流行り始めた。



難癖つけてきた管理職の人まで長期休み取って海外に行っていた。これはよろしくない。
この職場では管理職の人が長期休みでしかも連絡取りづらい場所に行くというのはまずありえない事だった。たぶんわがまま通したんだろうな。



そんな人ばっかりの中で、
Oさんは素直に嬉しそうに受け止めていた。






さらに
私の持ち物をいつもすごく気に入って褒めてくれて、
中でも当時たまに職場に持って行って使っていた漆のお弁当箱が
特にすごく気に入ったらしく、
いつもそれすごくいい!欲しい!って言ってた。



このお弁当箱、職人さんが不定期にひとつひとつ手作りしてるもので
大量生産はされてなかった。
しかも予約して何ヶ月〜何年も待つ場合がほとんどで
予約出来たからといって必ず買えるわけではなかったんだ。


私が予約したタイミングで偶然ひとつ塗りあがったと
行きつけの神楽坂の和食器屋さんからすぐ連絡もらって
奇跡的に買えたものだったの。



だからOさんになんて言っていいか渋ってた。



そしたら少しして
Oさんも似てるの探して買って職場に持ってきて嬉しそうに皆に自慢していた。
Oさん、日本の文化が好きな様だった。



あとOさん、趣味のお稽古事としてピアノを習っていた。
(英語は独学で勉強中だっただけらしい)
だからか、私がバレエ好きなの知って共感してくれていた様だ。



ところが私、
職場で出会った人とは基本的にそこまで仲良くしない。
Oさんはいい人でとてもユニークではあったけれど、
自分からそこまで親しく近づいていくことはなかった。
プライベートでのお付き合いなどまずない。




いやあったわ。1回だけあった。




ある時Oさんが
ピアノの発表会があるから観に来てと
職場で皆に声をかけていた。
私の事も誘ってくれて、
その日はちょうど予定も空いてたしピアノの演奏聴くの好きだしで観にいったんだ。



そんで発表会の翌日の仕事の日に出勤したら、
さっそくOさんに話しかけられた。
ほんとに観にきてくれたの
私だけだったんだって。
皆、社交辞令ばかりで実際はこないのに、と
静かに感激していた。



Oさん、どう考えてもそこの職場の人は皆
ピアノとか興味無さそうだよ。



私、Oさんがどうこうというよりはピアノの演奏に興味があったという事と、
舞台観に行くのが習慣になってるからっていうのもあって観に行っただけだったんだ。
でもそれは言えなかった。






あと、Oさんはクリスチャンだった。
これは自然な事だ。
なぜなら韓国はキリスト教の国なので、
韓国人のOさんがクリスチャンなのはわりと普通の事なのだ。
当時、定期的に教会にも通っていたらしい。



私がその事をEさんに話すと、
宗教に勧誘されたんじゃないかみたいな雰囲気になった。違いますが。


Oさんは、勧誘とか一切しない一人だった。普段キリスト教の話も一切しない。



ただ、Oさんがクリスチャンなのは皆が知っていて、
休憩中とかにいろいろ質問されてる事はあった。



ご主人とも教会で出会ったらしく、その時の事を皆に聞かれていて、Oさん

「なんか•••初めて会った時、すごくラクな感じがしたんだよね。」

って答えていた。それでその後結婚したらしい。
ご主人、おそらくクリスチャンだよね。
偶然教会に出入りしていた無関係の業者の人みたいなパターンもないとは言い切れないけど。



私は宗教に興味なかったけど、人がどんな宗教を信じようと自由だと思っていた。




ただ、
私、なぜか10代の頃から
キリスト教はすでにちがうものに乗っ取られていて
本来のキリスト教ではなくなっている

というよくわからない知識があって、
Oさんの通っている教会もそうなんじゃないかなという考えが当時頭をよぎったんだ。




でも、それはOさんに言わないでおいた。
せっかく教会に通うくらい信仰があって、
聖書も持ってるって言ってたから
とやかくいうべきじゃないと思った。




しかも私の上記のよくわからない知識は
10代の頃どこで知ったのかももうよく分からなくなっていたものだったのであやふやすぎた。


さらに乗っ取られてるのは日本のキリスト教だけで海外は違うかもしれないし、とも当時思った。







そんなある日の事、Oさんに事件が起こる。



そこの職場に、
あんまり魅力なくて似た様な人にしか好かれなさそうだけど
その似た様な人達で仲良くしてるというわがままな社員達が数人いたの。


そのうちの一人の先輩・・・
その先輩の名前、思い出せない•••。
Bさんて事にしよう。


そのBさん、誰にも求められてないのに
やたらと周りとコミュニケーション取りたがる人だったから
私にもよく話しかけてきてた。


半径2メートル以内にいるだけで
そのぱっとしないオーラが漂ってきて
ちょっと耐えられないレベルだったんだよ。


私と仲良くなれないと気づいた時からBさんは
やたらわがままにきつくあたってくるようになったのね。

※私に振り向いてもらえなかったわがままな人あるある。

私の方が歩み寄ってあげれば大人しくなるのはわかってるんだけど、
そうすると友達になろうとし始めるから気持ち悪くて無理。







ある日、
Oさんと私ともう一人Aさんていうベテランの社員(もちろん日本人)と
3人で夜残って仕事してたんだけど、
実はB さんも残ってたらしくて
退勤前に私たちのところにきた。



そのBさんが、その日も退勤前に私にきつくあたって帰っていったの。
誰も求めてないから別に来なくていいのに。




そしたら、



Oさんが、すでに帰ってその場にいなくなったBさんに対して
すごい剣幕で一人で怒りだした。




一時的に仕事ほっぽって怒り狂っている•••!!
しかも日本語の中によくわからない言葉もまじえて(たぶん韓国語)叫んだりもしている!!



Oさんと長く一緒に働いているというAさんが、
あんなに怒るOさん初めて見たと驚いていた。



Oさん、仕事は完璧だし日本語も完璧(韓国語訛りはあったが)、
普段は穏やかで協調性があるのに真っ直ぐで
さらに純真な人だったので、仕事ほっぽりだしてまであんなに感情的に怒るの見て私も驚いたわ。




曲がった事が嫌いで爆発したのか

私の為に怒ってくれたのか


分からないが、


もし後者だったとしたら、
そんなに私に感情移入してくれてるOさんに対して
私の方は結構いつもあっさりしてるな•••ごめんなさい•••って思った。



ただ、Bさんとその周辺の人達は普段から
客観的に見ても
ちょっとこの人達はね•••みたいな印象だったので、
私からするとOさんの反応は正常だと思えた。



逆にAさんにそういう真っ直ぐさはない。
その代わり
他人に対してこだわりとかアレルギー反応とかもないので
誰とでもうまくやれる人。



Aさんは、私の事を「陰口言わないし噂話にも参加しないから」という理由で
どっちかというと気に入ってくれてたみたいだけど、
Aさん自身は誰かが陰口言ってたら参加するし噂話も大好きだから、
なんかその矛盾に違和感感じてそこまで親しみ持てなかったんだよね。



それに
私が職場で陰口にも噂話にも参加しないのはそれが害にしかならないからなんだよ。
なんかこっそり話したいことがあるとすれば、
職場とは全く無関係のところで必要な部分だけ話す。


Aさんは私のそういった性質に気づいてなかった。
たぶん私の事、ただのお人好しだと思ってたんじゃないかな。
Aさん、お人好し=いい子だと思ってたのかもね。




ちなみに
Eさんもわりと誰とでもうまく接してはいたけど
一匹狼ぽい人だった。
比較的若い人だったのに、妙に貫禄があって
上の人とも物おじせず堂々と接するなかなかの強者に見えた。

Eさん、私の事を超面白い人だと思ってくれてたみたいだけど、
興味津々なわりに自分と仲良くする事を強いてくる雰囲気は全くなく、
職場以外で会う事も一切なかった。


Eさんが退職する時は、
私に対して結構寂しそうにしてたから
ほんとはプライベートでも仲良くなりたいと思ってくれてたのかもしれない。


最後にキルフェボンのタルト(当時Eさんの為に青山店まで買いに行った)をプレゼントしたらすごい喜んでたけど
やっぱ寂しそうだった。



やっぱり私は職場で親しくしてくれる人に対してあっさりしている。








他全員日本人というそこの職場で、
一人だけ韓国人のOさんが一番真っ直ぐな人って気がしたけど、
協調性を持って皆と仲良くしないといけない部分も多々あるから、
Oさんいろいろ我慢してたのかもしれない。
特にBさん一味に対して。



普段は皆と仲良くて、
お願いしたら
韓国語で一人一人の名前書いてくれたり、
実家(韓国)に帰省してきた後は
みんなに1人1個お土産くれたりもしてた。





当時は韓国人はOさんしか会った事がなかったから、
韓国人は
日本人とは言葉や文化が違うだけで
皆Oさんみたいな感じと思ってたんだ。




でもそれは違う。




Oさんが特殊なだけで、
韓国人は基本的に日本人とは全く異なる性質を持った人達だという事をいまでは理解している。