とある有名企業のグループ会社日記その28。***
この会社、仕事内容は事務と顧客対応の半分ずつの業務を行う会社。
それはどの部署でも同じだけど、部署によって業務内容がそれぞれ微妙に異なる。やたらと業務の種類が多い部署もあれば、英語使う部署もある。
私、事務的な事も嫌いではないしむしろ好きだけど、スキルチェックでは顧客対応についてとくに高い評価が出ていた。
この部署の人、顧客対応もそれなりに出来るけど、あんまり好きではなさそう。事務的な事にじっくり取り組む方がいいみたい。特に長く勤務している人で、難易度高い業務二つとも出来る人は、それに集中する時間が長いことも多い。27歳派遣社員女性や50代派遣社員女性はほとんどこの業務の専属の担当になっている日が多かった。
ある日、27歳派遣社員女性と隣の席になって、話す機会があった。次々と早く仕事覚えてってすごいねと褒められた。皆さん経験者であっても、結構何ヵ月・何年とかけてゆっくり習得していくそう。
ゆっくりやっていくのが合う人ももちろんいるだろうけど、中にはがんばったところでお給料変わらないからやらないという人もいると思う。
たしかに自分の負担になるほどやり込む必要はないけど、その時々でやれるだけの事はしておきたいというのが私の考え。しかもたいしてがんばってないのに身に付いたし。あきらかに環境がいいからでしょう。世の中には、個人の実務能力が上がることを嫌がる会社や職場というのが存在する。この会社は極端にそういう傾向がなかったし、研修もマニュアルも資料も充実していたので、それがよかった。
私が難易度高い二つの業務に興味あることを言うと、27歳派遣社員女性は、「社員さんに言えば、研修してくれると思うよ。出来る人増えた方が部署全体も業務まわるようになるし。」と言ってくれた。
そうなのか。でも、あまりに短期間になんでもかんでもやらせてほしいとうったえるのは、自己主張ばっかりしてるみたいになりそうだなと思った。
この27歳派遣社員女性は、この会社長い。私、ちょっと聞いてみた。
橘 「この部署って、昔はもっとたくさん人がいて、今より大きな部署だったって聞きました。でもある時、人が一斉に辞めたとも・・・。」
27歳派遣社員女性 「ああ・・・。」
なんでも、私が入る数年前のある時、会社の方針で、全員が全部の業務出来る様に、という事になったらしい。そこで、27歳派遣社員女性や50代派遣社員女性は、難易度高い業務も覚えてやりますと言ってこの会社に残ったらしい。それ以外の人は、難易度高い業務をやる気がなかったのか、能力がなかったのか、会社を去る事になったらしい。
派遣社員、相当辞めたんだろうな。これがよく言う派遣切りとかいうものなのだろうか。
27歳派遣社員女性とこうして話してる時に、グループ会社勤務長い正社員女性が話しかけてきて、会話がそこで中断。でも、以前グループ会社勤務長い正社員女性が言ってた大人の事情とかいうのについてだいたい把握出来た。
この派遣切りかしらねと思われる事があって人がいなくなってから、数年の時が流れて、私が入社してきたこの時、特に厳密にどこからどこまで出来なくてはいけないという基準は全くなかった。身体弱い派遣社員女性みたいな人が2回も入社してこれるくらいだから相当緩い職場だ。
でも、やはりその時その時で出来る事はやっておきたいという私の考えはとてもいいと思った。いつ状況が変わるかわからないし、思ったほど成果が残せなくても、主体的に仕事するというのはとても大切な事だとこの時も思っていた。
そうこうしているうちに、研修終わった新しい人がこの部署に配属されてきた。
