猫日記266。
エイジレス三毛猫は幼女がお嫌い4。
プッチはおいしいものに目がない猫だった。
若い猫とほとんど変わらず、20歳とは思えないスーパーお婆ちゃんのプッチの健康の秘訣はまさに食事といえよう。
普段はねこまんまが都度用意され、それがプッチの食事。
とてもおいしそうに食べる。
しかしプッチにはそれとは別に
密かな愉しみがあった。
ー夕暮れ迫る食卓ー。
じいちゃんは晩酌を始める。
プッチ (若旦那。)←プッチの中で出会った頃のじいちゃんのイメージのままらしい。
トン。
プッチはじいちゃんのあぐらに前足を乗せた。
プッチ(今夜の酒の肴はなんだい。)
するり。
じいちゃんのあぐらに入り込み丸くなるプッチ。
家族の中で唯一プッチにおかずを分けてあげるのがじいちゃんだった。
※幼橘は基本骨しかあげない。
幼橘 「プッチー、おさかなあげるー。」←骨の事らしい。
台所から、ばあちゃんが魚を焼く匂いが漂ってくる。
プッチ (!)
プッチ(なんだい!!ホッケかい!!)
匂いでホッケを確認。
プッチのテンション↑↑↑。
プッチ (若旦那、今夜はいい晩酌になりそうだねぇ。)←ホッケもらえるから。
台所でホッケを焼くばあちゃん。
居間まで漂うホッケの匂い。
先にお酒呑み始めるじいちゃん。
じいちゃんのあぐらで満足そうにくつろぐプッチ。
それらを見つめる双眼。
幼橘。
幼橘 (どうしてプッチはじいちゃんにばっかり抱っこされにいくの?!)
幼橘 (あたしだってプッチを抱っこしたいのに!!)
・・・メラッ・・・。
ジェラシー幼橘 (あたしだってプッチをかわいいと思ってる!!)
ずるん。
プッチ (ヒィッ!!)
プッチは、じいちゃんのあぐらから引きずり出された・・・!!
ジェラシー幼橘 「プッチー!!あたしが抱っこしてあげる!!」
プッチ (いらんわ・・・!!)
幼橘 「プッチかわいいー!!」
幼橘はプッチを抱っこすると、そのまま居間を出て連れ去った。
晩酌中のじいちゃん ←来るプッチ拒まず去るプッチ追わず。
プッチを抱きかかえたまま廊下を歩き回る幼橘。
幼橘 「プッチ〜、よいこだねんねしな〜。」←プッチをひとりじめ出来た喜びから歌いだす。
幼橘はプッチを抱えたまま大きくあやした。
プッチの肢体は空中で弧を描き、
その後を3色の残像が追いかけた。
プッチ (•••あた•••あた、あた、あたしゃ•••!!)
幼橘 くんくんくん ←プッチに顔を押し付ける。
幼橘 「プッチいいにおーい。」
プッチ ガーン
プッチは思考する力を失った。
プッチをひとりじめして楽しんでいたら、
ホッケを焼き終わったばあちゃん登場・・・!!
祖母橘 「やめなさい!!」
プッチ (奥方ナイス!!)←思考する力を取り戻した。
母橘も登場・・・!!
母橘 「プッチ、嫌だってさ。」
プッチ (お嬢、グッジョブ!!)
母橘 「プッチに嫌われるよ。」
プッチ (すでに嫌いだわ•••!!)
幼橘は二人が噴き出しそうなのを見逃さなかった。
幼橘 「プッチ~。」←再びあやす。
祖母橘 「離してあげなさい!!!」
幼橘 「・・・はーい・・・。」
プッチ (ひ・・・ひどいめにあったよ・・・!!!)←廊下を走りながら追手の確認をする。
プッチ (なんて・・・末恐ろしいわらべだよ・・・!!!)←居間に逃げ込む。
居間では相変わらずじいちゃんが晩酌をしていた。
プッチ (若旦那。)
プッチ(ホッケの具合はどうだい・・・。)
じいちゃんはホッケを食べ終わってしまっていた。
実はこの事件は1回限りではない。
(頻発案件。)
プッチはこの事件のたびに
時にアジのひらきを、時に刺身を、時にやきとりを
食べ損ねた。
プッチ (おのれえ・・・!!!わらべえ・・・!!!)
むかむかむかむか。←ご相伴にあずかり損ねて相当気分悪い。
それでも幼橘はプッチを独占したい!