ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

モデル発見記1

夏のノスタルジア3。






今年に入ってから、ひさしぶりに某大型駅に行く事があって
すごい昔のある夏の出来事思い出した。








そこの駅は都心から外れているのに
乗り換えで何本もいろんな路線が乗り入れてるようなとこで
駅とそこに付随するビルも相当規模が大きくて人の往来も多い。



私は当時たぶんぎりぎり10代だった。



ある会社の手伝いで呼ばれて
(手伝いだから報酬は発生しない)
ショーモデルを探す事になったの。


関係者の人と2人で組んで、
駅でモデルになりそうな綺麗な人がいたら声を掛けるというもの。



えぇー・・・。



私これ大の苦手だと思っていた。
だって人と話す事自体好きじゃなかったし
ましてや知らない人にいきなり声掛けるとか
自分にはありえない事だった。



そもそもギャラ出ないのになんでそんな大変な事を積極的にさせるのか今考えたら意味不明だ。



私以外にも同じ様な手伝いの若い人が何人かいて、
皆関係者と組んで街に散らばった。




今くらいの季節の、よく晴れた暑い日だった。





「じゃっ、綺麗な人見つけたら俺が説明するから呼んで。
俺も向こうで探してるから。」



そう言って、少し離れたところに去っていったのは
私と組んでくれた関係者の男性。


この人と私が選んだのは上記の大型駅。
他の人達は違う駅に散らばったらしい。


私と組んでくれたこの人、
いい方だったんだけど海外旅行帰りで真っ黒に日焼けしていた。


(大丈夫かな・・・。)


たぶん声掛けられた女性相当びっくりする。
いや、他人の心配してる場合じゃないんだった。
私。
知らない人に声掛けられるの・・・?


ただの手伝いだから適当に時間潰す事も出来たかもしれない。
でも、引き受けてしまった以上はちゃんとやらないと。←まじめ。







(綺麗な人・・・綺麗な人・・・。)



この駅、相当人がたくさん行き来していた。
十数メートル離れた先がもう人で見えない。



どうしよう・・・声掛けれる気がしない・・・。
19歳橘は駅に立ちつくして落ち込んだ。


声掛けられた方もびっくりするだろうし、
急いでる人だったら怒られるかもしれない。




そもそも綺麗な人って?!


どういう意味の綺麗なの?!


モデルが出来るくらい綺麗な人なんて、そんなにそのへんにごろごろいるわけないよ・・・!!





19歳橘、ふてくされる。




そして決めた。



もういい。
私が声掛けやすい人に声掛ける・・・!!



可愛くって優しくって私の話を親切に聞いてくれて
モデルもあっさり引き受けてくれる・・・そんな人!!




(・・・。)



そんな人もっといるかー!!











19歳橘はたちつくしたまま人の波を見つめていた。



・・・遠くに、女の人が歩いているのが見えた。
たぶん若い女の子。


他にも女の子はいっぱい歩いていたけど、
私はなぜかその人に声を掛けようと思ったんだ。


遠すぎてその人がどんな人なのかよく見えないし
そもそも人の波に埋もれて見失ってしまいそう。


でも、私は走り出していた。