ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

明け方起動する犬

犬日記4。


#あるじとチビ3。





チビは散歩が大好きだった。


散歩は主にじいちゃんが担当していて、
毎日夕方連れて行っていた。


私もたまに連れて行ってたけど、
本格的にチビと散歩に行く様になったのは中学3年生になってから。


その頃、受験生ということもありライフスタイルをガラリと変えた。




私、昔から常にあんまり体調良くなくて。
学校に行って帰ってくるだけでぐったりして毎日過ごしていた。
帰宅してご飯食べてお風呂入ったらもう疲れてしょうがない。





それなら。





20時か21時頃にはもう寝てしまい、深夜1時か2時に起きて勉強する。
そして朝になったらそのまま学校行くっていう生活様式に切り替えたのだ。



たまに、夜に友達から電話がかかってくる事があって、
その時私は他の子と違うライフスタイルで生きている。



その為友人たちから



「あいつは電話するとご飯食べてるかお風呂入ってるかもう寝てる。」



って言われていた。





しかも私テレビほとんど見なかったので、
休み時間にみんなの話を聞いてるだけになる。
話に参加する為にテレビを見ろと友人達に言われていた。








しかし、私のライフスタイルはあいかわらず明け方重視だった。
皆がまだ起きてる時間に眠っていて、
皆が寝静まったさらに後の1時か2時〜寝ぼけながらも勉強し始める。
それで、3時〜5時の間が最も好きな時間だった。
(5時過ぎるとばあちゃんが起き出してくる。)



だいたいこのくらいになると煮詰まってくる。
勉強中断して、違う事をしている事も多かった。



私、あの時間帯に祈っていたんだよ。
毎日毎日長時間というわけではなかったけど、たまに気まぐれに祈る事があった。
勉強に疲れたタイミングでというのもそうだし、
ストレスでもう自分の力じゃ受験乗り切れないって思ってた時もそうだったと思う。




あの時はまだこの事実を知らなかった。

RAPT | RAPT有料記事116(2016年10月31日)明け方の祈りにはどんな意味があり、どんな効果があるのか。


それでも今よりよっぽどきちんと明け方を守っていた様な気がする。










それでチビだけど。



3時過ぎた頃、家の中も近隣の民家も完全に静寂に包まれた。
神秘的な空気が漂い、部屋にこもってるのが勿体ないと思う様になった。



こ〜っそり玄関に向かう。
手探りで散歩用のロープを探して、掴むとよし!と気合いが入った。
靴を履いて、扉を音を立てないようにそっと開けると家の裏に向かった。



うちは両隣りに民家があった。
片方は昔からずっと住んでるひとたち。
もう片方は私が小学校高学年の頃には空き家になり、中学へ上がる頃には空き地へと変わっていた。


チビの犬小屋はその空き地の敷地側にあった。

その為そこは真っ暗。




私は小声で恐る恐る呼んだ。


「•••チビ!•••チビ!」


不審者だと思われて噛みつかれたらどうしよう。



ジャッ。



チビが立ち上がってチェーンが擦れる音がした。
すぐに私だと分かった様だ。



深夜3時台に飼い主から起こされる犬。
そんな時間なのに、チビは喜んで散歩に付き合ってくれた。



それ以来、チビとの明け方の散歩は日課となった。








ヘイチビ!散歩に行こうぜ!



ジャッ。


明け方起動する犬。



こうしてチビと私の明け方ライフが始まった。
それは春夏秋冬、どんな季節もだった。






しかし秋がやや問題だった。



チビの犬小屋の上の方には
覆い被さるようにくるみの木が枝を広げていた。
その為秋になると、くるみの実が地面にたくさん落ちた。



くるみの実は、あの茶色の殻が剥き出しで木になっているわけではない。
茶色の殻のさらにその上から果肉みたいな緑のもので覆われている。
地面に落ちたそれをうっかり踏んづけると滑ってこけそうになる。


その為毎年秋になると
明け方の真っ暗闇の中で、
犬小屋に近づいた私はあしもとのくるみの実をうっかり踏んづけていつもこけそうになっていた。



ジャッ。



そのせいで呼ばなくてもチビは起動していた。













やっぱり健康な犬は明け方も元気みたい!↓

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