ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

*真夏の白昼の親切

hotakatachibana2008-08-13

夏目話じゃないです。



朝、駅からバスに乗って目的地まで出かけたんだ。入り口から一番近い運転手さんのすぐ後ろの席に座った。目的地に行くのは2回目だったけど、うっかりブザーを鳴らすタイミングを間違えたときにすぐ降ろしてくれと懇願できるように後ろに張り付くように座ってる気だった。



すごく天気がよくて、焦げるかもしれないと思ってバスに揺られていた。景色がよくて窓の外をずっと見てたさ。



目的のバス停で降りて順調だった。



帰りになって駅へゆくバスが、30分以上待たないと来ないとわかった。しかし謎なのは、来た時に降りたバス停と帰るときにたどり着いたバス停が違うこと。どうやら来た時よりひとつ遠いバス停に出てしまったらしい。なんでこんなことになったんだっけ?


とりあえずじりじり暑いので木陰で座って待っていた。


少しすると見知らぬ上品なマダムが私の前を通り過ぎた。マダムはなぜか私を見て驚いた顔をしていた。そしてマダムはすぐ近くで立っていた。


私は来たときと違うバス停なことから無事駅に行けるか不安になったので、このマダムに聞いてみることにした。


マダムは、

「ええそうよ、このバスは駅ゆきです。あなた朝もバスに乗ってたわね。私あなたのすぐ後ろに乗ってたのよ。あなたなんでこっちのバス停にいるのかしら。驚いたわ。」


と言った。


偶然再会したみたいだけど、私のほうはマダムと出会った記憶がない。

「すみません、ぜんぜん気付かなかったです。」



マダムは、「これから私、知人と待ち合わせしているのよ。それじゃあね。」と言っていそいそとどこかへ行ってしまった。


とにかく30分後には駅にむかうバスに乗れるみたいでよかった。

暑い・・・。
少し焦げたかもしれんと思いながらバスを待っていると、目の前に車がとまった。


「あなた、駅に行くのよね?よかったら乗っていきなさい。」


助手席からそう声をかけてくださったのはさっきのマダム!
運転しているのはマダムより若い女性だった。


私はついポカーンとしてしまったらしく、マダムはさらに、

「さっき会ったばかりでなんの脈略もないですけど、知人の車でちょうど駅に行くからよかったらどうぞ。」

とおっしゃった。

私我にかえる。

お礼とか突然申し訳ありませんとか言いながら車に乗せてもらった。



駅には予定よりかなり早くついた。


お礼を言うともうさよなら。なんて一期一会なんだ。
お互いに誰なのか知らないし、もう二度と会うこともない。


なんて親切なんだろう。


あっというまの出来事につまった親切な時間で真夏の暑さで焦げてる場合じゃないと思った。