ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

*ローマの夜はふけてゆく

hotakatachibana2006-11-16

イタリア・フランス回想記4です。


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トレビの泉を後にすると、来た道とは違う道でホテルに帰ることにした。小道に入り込んで、角を曲がる。石造りの建物、石畳、ナターレの装飾、そして眠気のせいで、とても不思議な夜だった。何かこの世のものではないところに迷いこんでしまったみたいに・・・。


地図を見てもサッパリで、カンをたよりに歩く。曲がって曲がって、あらこんなところにこんな時間までやってる露天の食べ物屋さんが。でもとにかくホテルを目指そう。歩いて歩いて歩いた。すると大通りにでた。あとはまっすぐテルミニ駅のほうに向かえばホテルを見つけられる。

共和国広場の前を通り、その光と石の造形に圧倒されてみたものの、やはり眠かった。それらは眠気から覚ますものなのか、夢の世界に誘うものなのか区別がつかない。



ホテルに着いた。

友人と二人でとうとう来ちゃったね、とまた話した。そしてさっき見てきたばかりの感動も伝え合った。まさか1日目のこの短時間でスペイン広場とトレビというめじろおしな偶然のスケジュールをこなしてしまうなんて!私たち、なかなかやるなと私は思った。翌日からの7日間も期待できそうだ。

でも、少しホームシックというか、日本にいる人たちに会いたいとも思った。

たわけが!!イタリアフランスに集中してよ!

今現在の私は当時の私に言いたい。



バスタイムがはじまる前に、バッグをあさって重曹と入浴剤を取り出した。これはティアドロップのエピソードにも使ったが、誰も文句をいう者などいなかった。ローマの水は、石灰質で、配水管が白くなるほど質が極めて悪いと聞いていた。だから、バスタブに浸かるときは重曹を入れてお湯を柔らかくして、さらに日本の名湯で旅の疲れを癒す。そういう意図で二人分持ってきた。ちなみに、誰一人としてバスタブの中で滑ったり、日本の名湯を鼻から吸いそうになったりしてませんので、どうか誤解されぬよう。


友人がバスルームに消えた後、私は花屋で買った巨大なガーベラをホテルのコップにいけ、ベッドサイドに飾り、西洋焼き栗のセニョールからもらったバラをカーテンにクリップで留めてドライフラワー化を目指した。なんとかローマを離れる日のパッキングまでにこのバラをドライにしたい。さあ乾くのだ。


旅行会社Sの旅のTさんの、「2ツ星以下のホテルには泊まらせられません!!」というはからいで3ツ星ホテルだったのだが、綺麗なだけじゃなく、カーテンや窓の質感、ベッド周りが貴族的だった。ノーブルホテルをありがとうTさん泣。


ちなみに2ツ星以下のホテルに泊まると、シャワーを使っている最中で水に変わったり、水自体が出なくなったり、バスタブにお湯をためようにも栓がゆるくてお湯が逃げていったり、何かと不都合が生じるらしい。しかも防犯・衛生面でも不安とのこと。






窓を開けると、お向かいの建物の1回にあるトラットリアがまだ賑わっているらしかった。路地には車がたくさん停車していた。

わずかに開いた窓の隙間から、ローマの夜の空気をそっと、でも胸いっぱい吸い込んだ。ローマにいるんだ!日本のことは日本で。今はローマに集中しようと思った。


そんなあたりまえのことに気づいてる間に満喫してよ!!たわけぇ


現在の私は当時の私に言ってやりたい。

二人ともサッパリとしてベッドにごろごろすると、私はMDをかけた。フィリッパ・ジョルダーノとか映画のサントラとかサラ・ブライトマンとかヤン・ティルセンとかはイタリアフランスの旅には持ってこいさ。友人はそれ聴きながらデジカメをいじって写真チェックをしていた。

「ねえこの画像消していい?」

いいに決まってるじゃん。自分のカメラなんだからいちいち私に聞くんじゃないわよ。そしてさっきのスペイン広場とかトレビとかその中間とかで隠し撮りしたわね。私も翌日から友人を隠し撮りすることを心に誓った。


さあ翌日はコロッセオ。楽しみだね。遅いからもう寝よう。


そうしてローマの夜はふけていった。