ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

*コスチュームジュエリー

hotakatachibana2006-07-05

宝石は一粒もついていないというというのに、とんでもない価値のあるアクセサリーがある。


コスチュームジュエリーというもので、その名の通り舞台衣装などに使われるイミテーション。


イミテーションなのでもちろん本物も実在する、もしくはしていた、そう。


というのは、本物の方はばらばらに解体して別のアクセサリーになっている可能性が高いからだそう。でも、もしかしたらイミテーションのアクセサリーとまったく同じ姿をしたものが世界のどこかにあるかもしれないのだ。まるで生き別れのふたごの姉妹のよう!


そしてさらに多くの舞台用のコスチュームジュエリーとは別に、少し違ったバックグラウンドを持ったものもあるのです。それが写真のコスチュームジュエリーなんだけど、これはアメリカの奥様が手放してくれたものだそう。現在の持ち主の方に許可をいただき、撮影しました。


その奥様がまだ少女だった頃、パーティーのたびに作ったもののいくつかだという。これらとまったく同じそれも本物の宝石や金や銀で彩られたアクセサリーも存在していたということですね。イミテーションがあるということは必ず本物もある(ただし一点物のブランド物のコスチュームジュエリーは別だそうだけれど)のがコスチュームジュエリーなのだから。


この奥様のような方は門から玄関までがとてつもなく遠い家の方だそうで、そんな方々は本物のアクセサリーを身につけたりせず、かならず家のおかかえの職人に本物とまったく同じデザインのガラスなどを使ったイミテーションを作らせて、そちらを使うのだそう。本物の方は次々と違うものに作り変えるのだけど、コスチュームジュエリーはそのまま残り、何年も何十年も保管されることになる。そうして思い出が詰まってアンティークとなったのだ。


コスチュームジュエリーは表だけではなく、必ず裏返してその作りの繊細さ、手間をかけた質感も見るとよいと思います。ほんとにすごいですよ!


さらに私はコスチュームジュエリーのデザインにもっと驚きました。どうしてこんなカタチとラインをこのバランスで思いつくのだろうという驚き。しかも着け心地(持ち主の方がいろいろ身につけさせてくださったのですが汗)がまたすごい。ネックレス(写真には写ってませんが・・・)なんか、肌に吸い付くようで、丁寧な作りはデザインをさらに引き立てるうえに、その価値を雄弁に語ってくれる、と何度も驚いた。でも、必ず本物の方が先にあって、コスチュームジュエリーはぜったいにその後だそう。本物をデザインしたビシューデザイナーもそれを忠実に再現したおかかえ職人もすごすぎ。しかも、こういう人たちによって昔に作られたアクセサリーって、超絶技巧という感じなのに、手仕事の温かさがあるんですよね。



たいして宝石の知識もなく、そんなに好きというわけでもない私がコスチュームジュエリーに興味を持ったのは、ストーリー性があることと、この手仕事の温かさが感じ取れるから。


それでもやっぱりコスチュームジュエリーの大きな大きなガラスを見て、本物はこれと同じ大きさの宝石がついていたという事実には驚いたけど。


そしてそのアメリカの奥様が、今も門から玄関まで果てしなく遠い家に住んでいるという事実にも驚いた。