ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

*一人でバールへ

hotakatachibana2006-12-16

イタリア・フランス回想記11です。


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そのピアッツァを取り囲む建物の階段に座って、友人はスケッチをはじめた。私は一人でぐるりと一周したり、像に近づいてみたりした。毎日ここにこれたらいいのに、と思った。

友人のところに戻って、「ちょっと街の中行ってきていい?」と聞いた。そして40分たっても戻らない場合はホテルで合流という約束で私はもときた階段を一人駆け降りた。



大通りに出ると、車が激しく行きかっていて、渡るタイミングの見極めが難しい。ローマでの横断は、見極めた瞬間全力で渡ることだという知識が頭をかすめ、
またその車たちの一瞬の隙もやってきた。走り出すと、やはり他の人々(たぶんローマっ子)も走り出す。スリリングだが、ローマっ子も同じタイミングでやっていたので確信を持って向こう側にたどり着くことが出来た。



次は小さな通り。小さくてもそれなりに車が行き交う。そして荒い運転だ。今度は目の前にローマっ子らしき人たちがいたので、その後について走ったらあっというまに渡れてしまった。



そして目的のフィルム屋さんに到着。実は道端でフィルム売ってる人もいたんだけど、ぜったいお店のほうが安いと思って見送ったの。でも一番安いのは日本で買って持ってくることなんだけど。


その隣に、ちょっとこじゃれた感じのバールがあって、ローマにきてまだ一度もバールに入っていなかったからどうしようかと思ったけど、もっと古くて渋くて自分好みの店を見つけるまでこれも見送ろうと思って通り過ぎた。


その数件先に、またバールがあって、ここにはお手洗いだけ借りようと思って入った。カウンターの中にいるシニョーラにブォナセーラと声を掛けた。シニョーラが私に気づいてくれたので

「ドヴェ、イルバンニョ?」

と聞いた。すると身振りで「あっち」と奥の方を指した。よくわかんないけどお店の中のほうまで入って行った。ほんとにあった。シニョーラありがとう。お店を出るとき、カウンターに1ユーロ置いてグラツィエと言ったら、シニョーラは「こんなのいらない」という顔をしていたけど私はそのままお店を出た。


バール、バールはどこ・・・?
時間を気にしながら街を歩いた。するとヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂のところに出てしまった。ここにつながっていたなんて!

ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂も夜間は危険エリアとなるので近づかないほうがいいらしい。でも周囲の大通りを歩くくらい問題なかった。それにしても、記念堂の前にはすごい車の列・・・そしてすごいタクシーの数。この中に必ず何台かはインチキタクシーがいるのだな。ほほう。

ローマのタクシーは料金をごまかすことで有名である。私はローマに来る前にぜったいにタクシーには乗らないと決めた。旅行会社Sの旅のTさんが、テルミニ駅から歩いて行ける距離にホテルをとってくれたのでタクシーにはお目にかかることがないだろうと思っていたが、ここにわんさかいるではないか。


そういえば、ローマに到着した前の晩、トレヴィに行く途中でバールがあって、特に気にしてはいなかったけど、思い出したのでそこに入ることにした。そのバールはヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂がよく見える位置にお店をかまえていた。


テラス席に座った。ちょっと待っていたけど誰も気づいてくれないので、店内まで入って行った。どの人がカメリエレなのだ?みんなカメリエレに見えるけど。

「カメリエレ」

とりあえず呼んでみた。誰も何もしない。

そこでカウンターの中の人に「メニューぺルファヴォーレ」と言った。するとその人が奥にいる本物のカメリエレらしき人物を「あっちあっち」と身振りで言った。このカウンターの中の人は偽者のカメリエレだった。自分で本物に会いに行かないとメニューももらえないんだ。本物にもう一度言うと、「わかった」という身振りで言ったそのカメリエレは年配の上品なセニョールだった。


テーブルに座っていると本物がメニューをもってきてくれた。ブラッドオレンジジュースを頼んだらすぐ出てきた。飲みながら、インチキタクシーを眺めた。でも中にはすごくいいドライバーもいるらしいんだけど、どうしても全部インチキタクシーに見える。

記念堂のこうこうとしたライトアップが壮大で、ゆるやかな風も少しあって、いい夜だった。

ジュースを飲みほしたら、30分経過が近づいていたので、そろそろさっきのピアッツァに戻ることにした。

「イル・コント?」とカメリエレを呼びたかったのに、そのバールは飲み物が来たときにお代を払う仕組みだった。オーバカナルと同じ。



∞∞∞∞∞∞ティアドロ・ア・ラ・カルト番外編∞∞∞∞∞∞

バール・・・カフェのこと。


「ドヴェ、イルバンニョ?」・・・「化粧室はどこですか?」


カメリエレ・・・ウェイターのこと。


「イル・コント?」・・・お勘定をお願いするときに言う。