ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

貴公子は緑陰の香りではない1

猫日記251。
失敗しない店選び16。
貴公子のいる日常4。
夏のノスタルジア18。





その日私はガラス張りのエントランスに立っていた。



橘 (・・・うーん・・・。)




貴公子はいつものベッドと反対側のケージの中で寝ている。
こうしてガラス越しに眺めているばかりでなく、
実際に撫でたり出来たほうがいいに決まってる。
もしかしたら抱っこもさせてもらえるかもしれない。




でもここのお花屋さん、飛び込みのお客さんではなく常連の予約のお客さんのみ対応だったらどうしよう。
先日のムッシュもすでに準備されてある花束をひょいと受け取って出てきてた。



橘 (私にも花売ってもらえるかな・・・?)



そもそも営業中なのかそうでないのかもわからない。



貴公子と直接対面したい>初来店の不安




私はガラスの扉を押してみた。



カラン・・・



橘 (あっ・・・開いた。営業中なんだ。)




中に入ると、天井一面壁一面に不思議な植物たちのドライ作品が飾られていた。
ボタニカルな内装だった。




橘 (わあ、森の中にいるみたい。)








「いらっしゃい。」


奥からお店のムッシュが出てきた。



橘 「こんにちは。」



寝ていた貴公子は顔を上げた。



橘 (あっ・・・かわいい。)


橘 「あの・・・この子に触りたいのですけど、いいですか。」


お店のムッシュ 「いいよいいよー。好きに触って。」




やったー!!!




ナデナデ。



不思議そーうにする貴公子。

そして起き上がりケージから出てきてテーブルの上にしたっ、と飛び乗った。




橘 (わあ、やっぱりすっごく綺麗。)



目を開けた貴公子はやはり超絶美形だった。
それなのに全身から漂う雰囲気は可愛い。
最強か。



私がどう撫でたら喜ぶかお店のムッシュに聞いたら、
貴公子をヒョイと抱き上げて私に渡してくれた。
抱っこしちゃった!!



お店のムッシュ 「数10秒はそのままでいられるよ。」




なんか軽い手触りで、雲でも触ってるみたいだよ・・・!!
ちょっと前に流行った雲パン?かもしれない。



ここぞとばかり頬ずりする。



橘 (・・・。)




ノンフレーバーだった。







ま、まあカルピスみたいに花の香りのする猫の方が珍しいのかもしれない。
だいたいはこの貴公子みたく無香料タイプの毛皮だよね。






雲の感触を堪能してたら数10秒経ってしまった。


そしたら・・・貴公子が私の腕から脱出を試み始めた・・・!!





お店のムッシュ 「そいつは誰に対してもそうなんだよ。」





たっ、と貴公子はテーブルの上に降り立つと歩いて行ってしまった。




抱っこはあまり好きじゃないのか・・・。
でも数10秒はいいのか・・・。
・・・また、抱っこに挑戦しよう。




橘 「あの・・・この子の名前、聞いてもいいですか。」


お店のムッシュ 「Nだよ。」




N貴公子。




N貴公子はキャットウォークの方に行ってしまった。
でも、接客してもらったからお花は買っていこう。
ちょうど欲しかったし。




その日はパソコン横に飾る用の花を買って帰った。