ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

ほんとは出来る子

犬日記10。



#メリーはメリー3。







母橘 「•••ちょっと、ちょっと•••やめ•••うわあぁ!!」




メリーは母の背中に全身で覆い被さった!!






帰省橘 「ちよっと•••!どうしたの?!」



母橘 「いっつもこうなんだってば。こうやって遊んで•••うわあ!!」




ガヴァ!!




メリーはますます母に覆い被さった。



何これ助けた方がいいの•••?!



近くに他の家族が来たら、
今度はそっちの皆に次々と前から覆い被さっていた。




なんでも、家族全員こうなるのだそうだ•••。





飼い主全員におんぶと抱っこを強要する犬。




メリーは常時笑顔で当たり前のように覆い被さっていた。



大好きな飼い主に嬉しくて飛びつく程度なら
まだわかるけど、メリーのこれはそれじゃない。




客観的に見ると、大型犬が人間を襲っている様に見える•••!!







メリーは嬉しくて覆いかぶさってるのかもしれないけど、
大型犬と大型犬のミックスなだけあって体が大きいし、
しかも自分をまるで人間だと思ってるかのように家族におんぶと抱っこされようとしている•••!!
これはやられてる側は負担でしかないし、
見てる側からしたら恐怖でしかない•••!!




これは室内から外に出されるわ•••。
そもそもこんな大きくなる犬を室内で育てようとなぜ思った。





帰省橘 「なんでこんな風になっちゃったの?!」


母橘 「•••ちっちゃい時からこうなんだってば•••。」


帰省橘 「可愛いからってあまやかしたんでしょ!!」


母橘 「そんなことないよ•••。」



ちゃんと躾けれなかったわけね。




若干息切れしている母と話している間も
メリーのおんぶと抱っこの脅威は他の家族にも及んでいた。








帰省橘 「メリー!!やめなさい!!」




ぴた。




メリーは動きを止めると、
家族達から離れて
尻尾を振りながら私のところへやってきた。




母橘 「•••ちょっと、やめたよ。」




家族達は目を見張っていた。




帰省橘 「メリー、だめだよ。みんな重いって言ってるでしょ。そういう事しちゃダメ。」



メリーは私の前にお行儀よくお座りした。



よしよし。
私はメリーの頭を撫でた。
メリーはとても素直に私のいう事を理解して、
こちらの言う事を聞こうとじっと私を見つめていた。








私は母へ振り返った。




帰省橘 「ちょっと!メリーはちゃんと賢いしすごく素直ないい子なのに!なんで小さい時にちゃんと躾けてあげなかったの?!」



母橘 「ちゃんとしたよ•••。」




それなのにおんぶと抱っこを強要する犬になっちやったの?!



メリーが不憫でならない。




私はほんとは出来る子のメリーの頭をなで、
鼻筋もそっとなでた。



帰省橘 「メリーはいい子、メリーはいい子。」



メリーはとても静かに私になでられていた。




メリー (こんな風にしてもらったの初めてだ。)




メリーがそっと目を閉じたら、
ツインテールと同じ色のまつ毛が縁取った。



その瞬間。




ハフッ、とものすごくリラックスした様に
脱力して、私の足元にふせた。
その様子はとても心が満たされたようで
幸せそうだった。



家族は皆驚いていた。








たぶんメリーは私のいう事しか聞かない。
小さい時から私が側にいたら違ってたのに。



私が少しその場を離れて
再度戻ってくると、
またおんなじ事やっていた。




メリー (おんぶ。おんぶ。)



メリー (抱っこ。抱っこ。)



メリー (メリーと遊んで。)



皆、ぎゃーとかわーとか言うばっかりで、
メリーに覆い被さられてどうする事も出来ないでいた。



帰省橘 「メリー!!だめだよ!!」



ぴた。



やめる。

尻尾振ってにこにこしているメリー。



メリーが不憫でならない。


だいたいうちの家族は、
チビにも小さいとき小さかったからという理由でチビという名前をつけ、
その後大きくなってしまった。


そしてメリーも、こうなる事を見越して育てなかったせいで
こんな犬に育ってしまった。






•••ちょっとまって。





私も、私も同じ事されてる可能性が•••!!



イラァ•••。


私はひとりでだんだん頭にきていた。



私が考え込んでいると、
またメリーが皆におんぶと抱っこを強要していた。




もう(どうでも)いい様な気がする。
メリー、好きにしなよ。
全部皆の自業自得だよ•••!