猫日記224。
#姉の重すぎる愛と王子カルピスの憂鬱な日常9
カルピスは、男性陣には積極的なアプローチで愛情表現する子だった。
対して女性陣にはあんまり積極的ではない。
私の事は好きじゃなかったので、アプローチはほぼなかったんだけど、
お母さんの事は好きだったらしい。
カルピスは、お母さんの事をほんとにお母さんだと思っていた。
カルピスは、お母さんがいると、時々その足元でおずおず、そわそわしている事があった。
カルピス(あ・・・”おかあさん”。)
なんでかわかんないけど、母も察するんだよねえ。
母橘「カル・・・どれ。」
さっとカルピスを抱き上げる。
カルピスは抱き上げられる事が苦手なので、一瞬身を固くするんだけど、
母、手つきが違う。
特に抱っこしてからの安定感がすごい。
最初戸惑っていたカルピスも、まるで赤ちゃんの様に甘え出す。
母橘「ほら、カル。」
カルピス「ンモウ・・・。」
その姿は赤ちゃんをあやしてるみたいだった。
カルピスがすごく安心してるのがわかる。
さすが、赤子を育て上げただけの事はある
・・・とかつての赤子は思った。
そして、カルピスが可愛くて仕方ないという発作が起きる母。
母橘「カル・・・!!おまえ可愛いね・・・!!」←発作。
カルピスは全身から嬉しいというオーラを発し、
表情は艶めかしいほどに輝いた。
母橘「カル・・・!!可愛い!!」←発作。
強烈なゴロゴロ音をさせ始めるカルピス。
カルピス「にゃーーーーん!!」
カルピスが・・・正統派猫みたいな鳴き声で鳴いた・・・!?
※正統派猫です。
母橘「あらカル!!」
カルピス「にゃっ・・・にゃーーーーん!!!」
母橘「カル・・・!!」
カルピス「ゴロゴロにゃーーーーん!!!」
何このひとたち、会話してる・・・!!
うっ・・・うらやましい・・・・!!!
しかも、カルピスは嬉しそうに、両手を左右交互に開いたり閉じたりして
グーパーグーパーってし始めた。
いまで言うエアーフミフミというやつだ。
もう完全に赤ちゃんに戻ってる。
しかも・・・
カルピス「うふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふうふ。」
?!なにそれカルピス?!
・・・うふうふ、って言っていた。
私はこの時、うふうふとしゃべる猫を初めてみたのだった。
そして後にも他にそんな猫登場しなかった。
母橘「はい、カルおしまーい!」
カルピスを床に降ろす母。
だいたいいつも、洗濯機が止まったとか、ご飯が炊けたとか、
見たいテレビが始まったとか来客とかで中断。
カルピス(”おかあさん”。)
こうしてカルピスは少ししょんぼりして日常にもどってゆく。
子猫時代のカルピスはしばしばこうして母に甘やかされていた。
しかし、成猫になってからは赤ちゃんのように扱うのは母が遠慮している様だった。
母が、成猫になったカルピスが横たわっている時に
「王子様、王子様。」と言って優しく撫でるのは、
子猫時代の名残でもあるようだった。
母橘「カルピスは王子様だもんね。」
なでなで。
成猫カルピス(”おかあさん”、苦しゅうない。)
王子様はとても満足気だった。