ある日の外食の食事会の帰り、この料理苦手なマダムとなんとなく歩調があったので
一緒に歩いて帰ってきた。
他の食事会のメンバーはずんずん先を歩いて行ってしまっていた。
私、このマダムと初対面の時に、ご主人様が起業家だと他の食事会のメンバーから聞いて
素晴らしいなと思った。私の目にはサラリーマンが奇妙な生き物に映る事が多いからというのもあると思うんだけど。
このマダムは初対面からあんまり私の事好きじゃなさそうだったからあんまり話しかけないようにしてたけど、ご主人様の仕事いいですねとそれだけは伝えておいた。
この日はこのマダムと歩きながら少し話ながら帰って来たんだ。
このマダムのご主人様の具体的な仕事は私知らないし、
このマダムもどういう経緯でご主人様がいまの仕事をする様になったかは話さない。
でも、このマダムは社長夫人となった今でも、世の中の多くの女性と同じ価値観がこのマダムの中に残っているという事がわかった。
世の中の多くの女性の価値観・・・それは私には信じられない内容だ。
そういう人もたしかにいただろうな、30年くらい前までは、という価値観の女性が現在進行形だという事を知った時は気持ち悪いと思ってしまった。
このマダムの価値観は全てそれにあてはまるわけではなさそうなのでその全ての詳細はここでは控えるけど、
一部だけ伝えると、
「結婚して専業主婦になり、朝会社に行くご主人様を見送って夜決まった時間に帰ってくるご主人様を出迎える毎日を送る。毎月安定した給料をもらい、そこそこ豊かな暮らしが出来る。」
この価値観はこのマダムの中に残ってそう。そのせいで自分のイメージしたのと少し違うと思っていそうだった。
はっきりいってそんなくだらない価値観捨てて、このマダムの恵まれた素敵な日常を謳歌した方がいいと私は思った。
でも本当のところどうなのか、というのは本人しかわからないから、そういった事は一切告げず、
サラリーマンはつまらないので、起業家として成功出来る実力があるならその方がいいという方向で力説しといた。
このマダムは、私が突拍子もない事ばかりいっているとでもいいたげに笑ってみせていた。
でも、私が「自分で何か始めて生活出来るくらいになっている人」の方を人間らしくて才能あふれるユニークな存在だと思っていることは
お世辞でもなんでもないと伝わっているらしかった。
そして、自分の旦那さんがそういう人だという事と、自分の中に残ってる価値観とで折り合いがつかないという顔もしてた。
その後、お互い無言で少し歩いていたら、このマダムのおうちにささしかかったので
車に集中してるご主人様呼んでくれて挨拶だけしてそこから徒歩5分で自分のマンションまで帰ってきた。