ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

弟子にされそうになった話<依頼その1編・電話>

hotakatachibana2018-12-01

私は携帯電話を見つめながら、約束の時間が来るのを待っていた。
 



約束した日時は、全て私の都合に合わせたものだった。
このコンサルタントの人が全部合わせると言ってくれた為だ。
フリーランスだし、かつそれほどタイトに仕事入れない人なのかなと思った。
この時の私には、この人がどういう生活してるか等全くわからなかった。




約束の時間30秒前。私は携帯を手にとった。





数コール後、その人は出た。
私はてっきり1コール鳴り終わる前に出るものと思っていたから意外だった。
この人が私に強い興味をもっているという予想はやや外れたか、と思ったけど
それならかえって気楽でいいやと思った。私はもうそういうのに疲れている。
個人的な依頼の時間くらいリラックスして臨みたい。


しかし。



電話での会話が進むにつれ、やはりこの人は私に強い興味を持っていて、
依頼を真剣に受けてくれるという事はもちろん、何か他にもある、と思った。

何か意図がある・・・何か他にも意図が・・・。


脳の奥がちりっ、とした。


あらかじめ、この人のコンテンツでこの人の声も聞いていたから分かっていたけど、
声音が非常によくない。電話を通してリアルタイムで聞くからもっとだ。


私は声音に敏感だ。いろんな声の人がいるけど、高いとか低いとか、魅力的とか
そうじゃないとか、そういった問題じゃない。

あくまで声にどんなものがのっているか、それが問題だ。



その人と通話しながら、全身の細胞が拒否するのを感じた。おそらく私は、この電話中に何かあってもうまく対応出来ないと思った。あらかじめ依頼メールで自己紹介、自分の抱えてる問題詳細と解決してどうなっていきたいかを詳しく伝えておいてよかったと思った。






メールの内容について、その人は感激していた。
もしかして、この人のところに来る人は、
あまりくわしく書かずに依頼してくる人ばかりなのかなと思った。


この人はそう言った事は言わず、私のメールを読んで「花みたい!!」と言った。
お花からメールが来たと言っていた。



・・・。



これ、ある意味ではするどいんだけど・・・。
私、昔からよく花みたいだと言われるんだよ。男性からも女性からも。
ただ、残念ながら私はいわゆる華があるタイプではなく、物理的にお花そのものみたいかというとちょっと違う。


おそらく、人が部屋に花を飾りたいと思ったり、どこかで花を見た時に何か感じ取るものがあったり、そういった心理を満たす要素があるのだと思う。実際、私を気に入ってくれる女性は結構いて、女性は花が好きだし、花と一緒にいる事で女性の良さが引き出されたりする事もあるからかもしれない。そういった感性を身につけたいと潜在的に思っている男性からもよく話しかけられる。






そして花の件よりももっとその人が驚いていたのがメールを送ったタイミング。
ちょうど抱えていた顧客の大口案件がひと段落して、よし次の案件まで休みをとるかという
タイミングで私からのメールが来たとの事だった。

この人、基本的には法人相手の仕事ばかりしていて
たとえ個人のお客様であっても会社を経営して社員を抱えている様な人の依頼しか基本的には受けないんだそうだ。


この人は「少しでもタイミングがずれていたら断っていたよ。」と心底驚きながら言った。


私がメールを送るタイミングが早すぎても遅すぎてもダメ。
まさに絶妙なタイミングだったと言う。


この人はこの件に関してなんでこんなに抜群のタイミングでメールしてこれるんだ、と
相当不思議そうだったけど、私は脳がどんどんクリアになっていくのを感じた。





実は、こういう偶然は私の人生ではたびたび起こる。そしてそんな時、何か重要な事が隠されている事が多い。


”この人は何かを持っている・・・!!”



そう、私の人生に必要な何かを・・・。
つまり、俗に言うキーパーソンなのだ。ただ、声音が非常に気になった。おそらく私は
サメとかクラゲとかわけわからん海洋生物とかがいる海の中に真珠を取りに行くような
行動をしようとしているんだろうなと思った。それなら長居は危険だ。キーパーソンが
ずっとキーパーソンであり続ける保証はない。






こういう時、普通であればなるべく海に潜らずに真珠を取る方法をとるんだろうけど、
私はそうじゃない。





私 「会ってもらえませんか。」


この人「は?!ちょっとまて、ちょっとまてよ。」





この人は、私が女性だからという事で配慮したというのもあると思うし、
この人の用意したシナリオと違う流れに私が話したからといのもあると思う。
一瞬戸惑って、再度この人は会話の主導権を握りなおしていた。
なんか意外とわかりやすい人だなあ・・・。







この人の顧客の中には会わずに依頼して解決まで持っていって一度も会わないまま完結、契約終了というお客さんも多いのかもしれないとも思った。

実際、この人の顧客がかはわからないけど、世の中にはそういう人が多いとぼやいていた。



私は違う。
その人個人の時間を頂戴して相談に乗ってもらうなら直接会って話すべきだと思う。
礼儀という意味でも、効果という意味でもこれは非常に重要だと思っている。
そして、依頼を受けてもらうにあたって必要な情報は思いつく限り渡したけど、
やはり文面と電話の会話では不十分だと感じた。
この人が直に対人間で仕事するプロだとしても、会わずに仕事するのと会って仕事するのとでは精度がちがってくるだろうと予想した。


これら全ての事をこの人に伝えた上で、「私、プロの人にこうして個人的に相談した事ないんです。お手柔らかにお願いします。」と付け加えた。







この人は私を非常に気に入ってくれている様だった。
まず会ったら、お花屋さんに行って、花を買ってあげると言っていた。
この人、女性のお客さん、つまりどこぞの女社長達と会う時もその都度花を持っていくそうだ。


イタリア人か?!





時々こういう男の人いるんだよ。私にも花をプレゼントしたいという人。



私は花は要りませんとしっかり伝えた。
しかも、この人私の事花って言ってたでしょ。
ほうら花はもう存在している。買う必要はないね。





あと、ご飯に連れてってあげる、とも言っていた。
この人、男性の顧客はもちろん、特にどこぞの女社長達にも必ず食事を奢ってあげてるらしかった。


私は、食事は不要なので、どこか落ち着いて話せるカフェで待ち合わせしませんかと提案した。花もプレゼント出来ない、食事もご馳走出来ない、でこの人は大変不服そうだった。でも、私の要望を通してくれ、待ち合わせ場所、日時は後日メール相談となってその電話は終わった。




結構な長電話になってしまって、日付が変わりそうだった。