猫日記113。
真夜中帰宅途中、八百屋からやや離れたところにあるうちの近くのビルを通りかかったら、どこからともなく何かを呼んでいるような猫の鳴き声が聞こえてきた。
声はきこえど姿は見えず。
強いて言うならビルエントランスに置いてある白いポリタンクから聞こえてくるような気がする。
しかしその白いポリタンクは猫だった。
そしてその猫は加藤さん!?なにしてんの?!
加藤さんは背面は真っ黒だから、背を向けていると闇の中に溶け込んでしまう。
しかし前面はほとんど白なので闇のなかにぽっかり浮くのだ。
しかも加藤さんはちょっとみない間にすごく太っていた。そのせいでポリタンクに見えたごめん。
ご飯に困っていないのはよかったけど、あの細身スタイルがこうなったと思うとショックです。
しかしもっとショックなのは加藤さんの態度だった。
この世の全てに怯えたような目をし、私のことを全く知らない人でも見るような感じだった。
私が加藤さんと呼んで近寄ったら後ずさりを始めた。
チャップと呼んでもだめ。なにこれまるで別猫のよう。ていうかこの方加藤さんじゃないんじゃん?!なんか太ってるし。
しかし、鼻の下の少しずれた微妙な位置に例の髭模様がある・・・。
加藤さんまって!
私が捕まえようとしたら、例のへんな走り方で逃げ去った。加藤さん以外の何者でもない。
翌日、八百屋のマスターにMr.P氏の不可解な行動の謎が解けたことを前の晩のことも含め伝えたところ、しんみりしていた。
マスター 「あいつかわいそうだよなあ」
Mr.P氏は加藤さん狩りをしているのだ。八百屋からだけでなくここら辺のエリアからも加藤さんを追い出す気だ。
マスター 「チャップに会いたい!!」
マスターは心底加藤さんに会いたい様子だった。
マスターは角煮定食の角煮を根こそぎ加藤さんに食べられたことをけっこう長い期間根に持っていた。そしてどっかずるがしこくて要領のいい感じがする(しかし実際は要領悪過ぎてかえって要領良く見えていただけな説が有力)加藤さんに最初は(途中も)冷たいこともあった。
でも加藤さんは可愛い。その証拠にどっかでご飯もらってる形跡があるではないか。毎日のご飯に困っててあの体型はない。さよなら加藤茶ップリンフォーエバー。違う世界で達者で暮らせよ。
加藤さんが去ったのでもうMr.P氏の写真しかありません。