仕事帰りに八百屋に行くとマスターが花届いてるぞとよこした。
なんでも、こないだ居合わせた人でBMWに乗ってる男の人で今度みんなでどっかいこうってことでその時私は助手席に座るそうです。ぜんぜんわかんないです。
まずこないだっていつでそんな人いたっけ。話した記憶もない。印象に残らない誰。でいきなり花よこして私が受け取ること前提ですか。私がBMWの助手席に乗ること前提ですか。印象に残らない人なのにすんごい自信だ。
しかも車にこだわってるみたいだが、まず基本である衣食住にこだわってから車にこだわりください。お金かけるかけないにかかわらず衣食住に自分なりの感性や嗜好を織り込んでる人の話は面白いものです。このBMW人は同じ空間に居合わせたらしいが覚えてないくらい面白くなかったってことだ。
以上のような話を延々とマスターに目くじらたてながら話した。マスターのことを言ってるわけではないのにマスターは、
「俺が怒られてるみたい…」
とションボリしてしまった。
そこで私はマダムに泣き付いた。マダムは「ほんとに嫌よねえ」と笑っていた。Mr．P氏にも泣き付いたら迷惑そうだった。加藤さんは早い段階で私の大きな声を聞いて例のへんな走り方でどこかへ行ってしまっていた。
それで花を返してもらうことにしたのだが、しばらく八百屋にあった。その間マダムが花の世話をしていた。
一番迷惑こうむったのはこのご夫婦らしい。
