イタリア・フランス回想記(2003年12月27日〜2004年1月1日)vol.32です。
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私たちは走っていた。なぜならルイージが走っていたからだ。
ルイージとは…。
「こっちこっち駅だよ!」
「僕はメストレに住んでてベニスに職場があるから通勤してるんだ。…ほうら着いた!」
「ぜひ家族に会わせたいね。妻と息子が二人。家に遊びにおいで。」
「ベニスにはどのくらい滞在するんだい?ワンデイ?じゃ、明日帰るのかい?そりゃすごい。」
「これが職場のカードだ。」
ルイージはそう言って私たちに一枚ずつ水色のカードをくれた。なので私はさっきの水上バスの中で折っといた千代紙と穴のあいたコイン五円玉をルイージに渡した。
ルイージは「オー…」と言いながら、千代紙と五円コインを凝視してとても喜んでくれた。こちらまでうれしくなった。
そしてルイージはサンタルチア駅の中へメストレの自宅目指して颯爽と消えた。
ルイージ、親切に案内ありがとう。
でも出発したはずの場所に二人でまた立っている意味がよくわからなかった。
ルイージ!!泣
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