イタリア・フランス回想記(2003年12月27日〜2004年1月1日)vol.30です。
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水上バスに乗って真っ黒な海の上をどんどん進む(写真は日中のベニス)。
デッキに出ると、後ろへ流れていくベニスの街が見えるけど、とにかく寒かった。手の届きそうな海の上にはところどころに明かりが灯っていて、これがここでの街灯なんだと思った。バスの進路の目印でもあるのだろう。
中に入ってベンチに座った。友人はデッキに残った。
何度かどこかのフェルマータに止まったけど、いつまで待ってもムラーノに着かない。しかも、室内なのに吐く息が白いことも気持ちを縮ませた。
寒さと疲れで頭がぼんやりしてきた時、またフェルマータへ止まった。
比較的たくさん人が乗ってきた。ほとんどの人が仕事帰りという感じで、ベニスでの通勤は水上バスか・・・と私にしみじみとしたものを感じさせた。
それまでがらんとした室内が、少し人でうまって、少し温かくなったように感じた。
私が一人座る席の前にもこの時一人のサラリーマン風のセニョールが座った。
このセニョールこそがティアドロップ第2章・セイレーンの美神(ミューズ)のモデルになった人物その人なのだった。
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