ぽとりと落ちたノスタルジア

最近の日記は数年前の日記を書いている。時々リアルタイム日記を挟みます。

*美と神秘のプリマに会ってみた

hotakatachibana2007-01-27

イタリア・フランス回想記(2003年12月27日〜2004年1月1日)はお休みです。


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マダムのおかげのチケットで場内へ!マノンの幕が開く!

生のギエムは初めて観たんだけど、映像で観るよりずっときれい!!


すごく思ったのは、映像の中で踊るギエムと、私が観た舞台で踊るギエムの印象が違ったこと(2005年7月当時)。


ずっとDVDで観てて、すべてに神経を行き届かせて身体能力をフル活用で踊るというイメージがあった。とにかく、どこもかしこも気が入っていて、まさに完璧というくらい。すごく・・・踊っている状態への執着が強いなと思っていた。

でも、このときはなんだか違った。完璧なのに、どこかふっと力の抜けた感じ。なんとなくリラックスして踊っている感じがした。でも、リラックスと言っても、すごい。あんなにパッセを高い位置で保ってピルエットしてデリエールへ足を抜いても軸足はブレもしないで、呼吸するのと同じくらい簡単にやっちゃう。アームスもすごく綺麗で感激した。

ロシア流派の人たちのアームスは、手首から先にアクセントがあるけれど、ヨーロッパスタイルのアームスは二の腕にあると思うんだー(特にパリ・オペラ座は)。ギエムもまさにそんな感じで、二の腕に意思が宿る感じ。


私はギエムが踊るの観るたびに、パリ・オペラ座ってスゴイなー、やっぱ好きだなーと思う。ギエムをギエムにしたのは、彼女自身に他ならないけれど、でも、やっぱりオペラ座抜きにはああならなかったと思う。それと同時に、彼女が24歳の時に「オペラ座のドアを乱暴に開けて出て行って」しまってすごくよかったなーと。パリ・オペラ座がギエムを逃したおかげで、世界がギエムを得たのだから!


あの日、どうしてなのか分からないけれど・・・全幕を通して、ギエムから透明感と幸福感、みたいなものが感じられたの。きちんとマノン・レスコーなのに、悲劇的な場面でも、そう感じた。

あの日ギエムが演じたマノン・レスコーは、ほんとにただただ運命に翻弄される人という感じ。だから、次から次へと人づてにリフトされていく振り付けに、すごく納得させられてしまった。ギエムのマノン・レスコーは、ほぼ自発的に何かをするということがないし、自分の置かれた状況やこれから自分の人生がどう展開していくのかを感じとれない人という感じ。それでいて、自分の気持ちのおもむくまま、綺麗な宝石と豪華な毛皮に心動かされたりする。ムッシュGMといるときは、あんなに好きなデ・グリューのことなどもうとうの昔のことのよう。綺麗なドレスを着て、無邪気にお酒飲んでる。


かと思えば、やってきたデ・グリューにカードでGMからお金をまきあげたら一緒に行くと頼む。ギエムのマノンは、いちいち自分の行動に深い意味なんて感じていなく、罪の意識ももちろんない。それに加えて、とても美しく、あっさりと無邪気で、そして、たたずんでいるだけでとんでもなく魅惑的な人。だから悲劇を生むんだわ・・・。震


こんなに複雑であることをベースにしたある意味単純さを自分のものにしてしまうギエムはすごい・・・。お客さん、大喜びでだった。みんなギエムと一緒の時間を過ごせたことを幸せに思っていたみたい。私もそうです。


終演後、楽屋口へ直行した。たくさんの人と一緒に待っていると、ギエムとムッルがやってきて、テーブルまで用意されて、即席サイン会が!!みんな列になって自分の番がくるのを待った。私もギエムに会える!!と手に汗にぎって。だっていつも映像で観ている人がそこにいるんだってば!!


前の人たちがサインしてもらっているのを見てると、英語で長々とギエムと会話するファンがいて、係の人に注意されていた。するとギエムは「あら残念!次の機会にぜひお話しましょうね!」と少しおどけてのけぞってみせて、そのファンに手を振ってた。


やっぱりお話はだめなのか・・・。


でも大丈夫だもんね。私のフランス語は何秒ともたない!!
ギエムと話すなら、ぜったいにフランス語だと思った。彼女は半分スペインの血が混じっていようと、ロンドンに住んでいようと、「パリジェンヌ」なのだから!ついに私の番が来た。もたないフランス語始動。
「こんばんは。」
すると、ギエムは私の方を見てくれて、さらさらとサインを。私、もうそれだけで感激してしまって、
「あなたのことがめちゃめちゃ好きです!!!」
と言った。するとギエムは、
「そんなこと面とむかって言われるなんて思ってもみなかったわ!」
みたいなことを言って笑っていた。あまりにも流暢なので、よくわからなかったんだけど、たぶんそんなことだったと思う・・・。私の方をちゃんと見てくれてうれしかったのと、次の人がいるというのとで、「どうもありがとう。」と言って走り去った。なので隣に座っていたムッルの前を素通り!サインもらい忘れただけでなく、かなり失礼でした!!!

ムッルごめんー。でもギエムに会えてうれしいー。うれしいー。